食卓を彩る、りんご。ひとかじりすれば、甘酸っぱくて甘い、ジューシーなおいしさが、口いっぱいに広がります。そんな、おいしさを生み出しているのは、ほかならぬ「りんご農家さん」。そんな農家さんの思いや、農業に対する哲学に、耳を傾けてみませんか?
りんごを愛して奮闘する、りんご農家さんのインタビューをお伝えしていきます。
きっと、りんごの見え方や味わいが、昨日とは変わるはず。
今回ご紹介する農家さんは、長野県中部の松本市街地近くの山間部で「よこや農園」を運営する川邊謙介(かわべけんすけ)さん・明日香さん夫妻です。東京で過ごしていましたが移住し、2016年から明日香さんのお祖父さまの、りんご農園を継承しています。
Issue02ではよこや農園の「りんごを軸にした活動」に迫ります。
主な販路は、なんと畑の横にある無人販売所。ここに訪れたお客さんは、リンゴが手に入ると同時に、りんご畑の様子も見ることができます。Googleマイビジネスで情報管理することで、WEB検索で上位となり、見つけられやすくなっています。市街地に近いため、お客さんも足を運びやすい農園です。
謙介さん「無人直売所にりんごを置いて、作業をしてから戻ると残り少なくなっています。順調に皆さんに手に取ってもらえているので、作ることにも力が入ります。『よこや農園のりんごなら、おいしいから買って大丈夫』という信頼関係を築いていくことが大切ですよね。
地元の人にも足を運んでもらって、うちのりんごを食べてもらいたいです。意外と地元産のものを買う機会ってあまりないと思います。長野県はりんごをたくさん作っている産地なのに、食べられないなんて、なんか寂しいですよね。」
明日香さん「直売所にわざわざ来てくれるお客さんは、かなりのりんご通。舌が肥えているので結構評価もシビアですけどね(笑)。プレッシャーもありますが、応えていきたいですね。生産者も消費者も、りんごを通じてお互いハッピーでいられたらいいですね。」
農園では、りんごの木1本に対してオーナーになれる「オーナー制度」を取り入れています。オーナーは、農園からの月1レポートでりんごの生育状況が分かるほか、花摘みや摘果、収穫などの体験ができます。
明日香さん「りんごの木一本あたりの収穫高は、おおよそ150個ほど。収穫時はファミリーのお客様を中心に、わいわい楽しんでもらっています。
摘果次第で、りんごの出来は変わるので『あの辺の摘果が足りなかったから、来年はもうちょっと摘まないとね』なんて会話も生まれています。自分の手で育てる感覚を持てると思います。」
ヘタが取れたり、枝が折れたり、落としたりしても、自分の木のりんごなら問題なし。小さな子どもも、のびのびと楽しむことができます。
さらに「信州よこや農園 ~蔵(KURA)~」として、1日1組限定の宿泊施設も運営しています。りんご畑のすぐそばにあり、観光地へのアクセスに優れた立地を活かした宿は「booking.com」のトラベラーレビューアワード2021にも選ばれました。
謙介さん「朝、りんご畑で散歩するのは気分がいいですよ。畑の景色と、空気の気持ちよさを味わってもらいたいです。」
りんごだけでなく、周辺環境を含めた地域の強みを活かした運営をしています。
Issue03につづく